IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:欧州における情報セキュリティ関連動向調査報告書

(1) 欧州における公開鍵暗号基盤(PKI)の移行計画に関する調査
   Study on Migration Plan about Cryptography in PKI Systems in the EU

 現在、世界各国で公開鍵暗号基盤(PKI:Public Key Infrastructure)が広く利用されている。PKIを構築するために使われている暗号技術としては、公開鍵暗号、ハッシュ関数、(擬似)乱数生成がある。これら技術のうち、公開鍵暗号としてはモジュラス1024bitのRSA暗号が主として利用されている。ハッシュ関数としては、SHA-1が主として使用されている。
 最近、モジュラス1024bitのRSA暗号とSHA-1に関しては、方式的な寿命が近付いていると認識されており、新しい暗号技術への移行が検討されていると考えられている。例えば、米国では、NIST(National Institute for Standard and Technology)が勧告を行い、新しい暗号技術への移行を推進しようとしている,70-465
 欧州各国(独、仏、英、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー等)でも、PKIが利用されていると考えられるが、その移行計画に関しては、我が国からは極めて情報が乏しい状況にある。そこで、我が国における移行計画策定の参考とするため、欧州におけるPKIの移行計画に関して調査を実施する。

(2) 欧州委員会における暗号技術に関わる研究開発動向調査
   Survey on the Current Status of Research and Development (R&D) of Cryptographic Technology in the European Commission

 欧州委員会では、委員会指令に基づき、NESSIE(New European Schemes for Signatures,1Y0-A08, Integrity and Encryption)、ECRYPT(European Network of Excellence for Cryptology)といった暗号技術に関わるプロジェクトを継続的に実施している。日本の企業?研究者も、これらのプロジェクトに参加し、活動を行っている。
 しかし、これらのプロジェクトは、欧州における暗号研究者の育成には役立っているものの、その成果が、欧州各国の情報セキュリティ産業の振興に直接的に寄与しているとは言いがたい状況であると考えられる。
 一方、我が国でも、電子政府推奨暗号リスト改定の検討を開始しており、この一環として、暗号技術の公募を検討しているが、これは即ち、我が国の暗号技術の振興という技術政策の一面を持つ,MB6-818J問題集。そこで、欧州において、こうした暗号技術の振興を行うに至った背景、及び、今後の動向を調査する。

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